
ただ言うまでもありませぬが、脚本と言いましても一人の方が書いていたわけではありません。今回の記事では4人の脚本家につきまして、順に考察していきたいと思います。
その1:千葉克彦さん-オリジナル宇宙人好き-
担当回:第4話「宇宙のLOVEエプロン」、第9話「光星より愛を込めて」、第11話「金色の闇」、15話「密林のプリンセス」、第19話「地獄温泉女宇宙人七色ポロリ」、第21話「結城亭血風録」、第24話「はじらいながら」
まずほぼ原作通りだった第11話「金色の闇」(ヤミちゃん登場回)は評価から外しておきます。
完全オリジナル回の第4話「宇宙のLOVEエプロン」、第9話「光星より愛を込めて」、第15話「密林のプリンセス」、第19話「地獄温泉女宇宙人七色ポロリ」、第21話「結城亭血風録」の5話中4話にオリジナル宇宙人が出てきました。

第9話ピカリー、

第15話カーター、

第19話地底人、

第21話宇宙人の旅館客たち
つまりオリジナル宇宙人が好きな脚本家と申せましょう。もちろん我々はオリジナル宇宙人の活躍を見るより、原作に登場するキャラの活躍が見たかったわけですが…残念です。
次に言えることは、最後がグダグダになる傾向が特に強いです。第4話「宇宙のLOVEエプロン」、第19話「地獄温泉女宇宙人七色ポロリ」、第21話「結城亭血風録」はわけがわからず、オチないままに終わっています。正直脚本としてどうかと思うのですが…
千葉克彦さん脚本で好きな話:第11話「金色の闇」は上にも書きましたようにほぼ原作通りで良かったです。
第4話「宇宙のLOVEエプロン」はララとリトの性格改変がどうにも納得いきませんでしたが、ララの裸エプロンは素晴らしいです。お尻がまたいい…だいぶスッキリさせてもらいました。

第19話「地獄温泉女宇宙人七色ポロリ」はヤミちゃんと御門先生の温泉入浴がいいですね。御門先生の巨乳とヤミちゃんの貧乳の対比がいいです。

千葉克彦さん脚本でダメな話:第9話「光星より愛を込めて」が文句なしに筆頭ですね。上記のピカリーの話が延々と続く、悪夢のような話でした。
ちなみにこの回、春菜が全く出ない回でもあります。アニメ版で春菜が全く出ないのはこの話と第20話「爆熱少女マジカルキョーコ炎(フレイム)」だけです。キョーコは番外編ですから仕方がないとしても、千葉克彦さんは春菜よりピカリーの話を書きたかったんですかね…
その2:下山健人さん-4人の脚本家の筆頭-
担当回:第5話「くいーんの挑戦状」、第8話「清廉潔白風紀委員」、第12話「戦慄! 体育祭」、第16話「ルンの突撃告白タイム」
4人の脚本家の筆頭に位置するのではないでしょうか?第12話「戦慄! 体育祭」はアニメ版オリジナルの話では1.2を争う出来栄えだと思います。水着だけ切り裂くマシーンなど、

いかにも原作に出てきそうな発想です。
第16話「ルンの突撃告白タイム」も古手川がなぜか泳げる、気さくな普通の女の子になってるという疑問点以外は、「都合よく水着を喰らう宇宙ピラニア」など、

いかにも原作に出てきそうな発想です。第5話「くいーんの挑戦状」、第8話「清廉潔白風紀委員」は原作にもある話を改変していますが、及第点以上の出来です。欲を言いますれば、繰り返すことになりますが古手川の性格、また第5話での綾+凛の忠誠度が低すぎるといったように、キャラの性格ですかね…
ただそれらを差し引きましても、4脚本家の筆頭であることは間違いないと思います。
下山健人さん脚本で好きな話:第12話「戦慄! 体育祭」が文句なしに筆頭です。原作の体育祭の話は2話で完結したこともあり若干不完全燃焼だった面もありましたが、この体育祭は文句のつけようがないできだと思います。
美柑、ヤミちゃんは出ませんが、それ以外の全てのキャラに見せ場がありました。いい意味でおバカな内容でした。これが「To LOVEる -とらぶる-」の魅力なんですよね…
下山健人さん脚本でダメな話:正直、全て及第点以上です。ありません。
その3:大和屋暁さん-賛否分かれるシリーズ構成担当-
担当回:第1話「舞い降りた少女」、第2話「婚約解消!?」、第3話「三角関係」、第7話「男とはかくあるべし!」、第13話「宇宙一の男」、第14話「ふたりだけの秘密」、第22話「戦慄! 文化祭」、第25話「地球最後の夜」、第26話「ララ」
シリーズ構成も担当された方ですね。そのため冒頭の1-3話、節目の13、14話、最後の25、26話と重要な部分を担当されました。印象としましては、「男」にこだわる人でしたね。

節目の13、14話でのリトの「宇宙一の男」を目指すという展開…第7話のルンのサクセスストーリー、

もちろん原作のリトだってララや春菜にふさわしい男になろうと、自分を磨く努力はしているでしょうが、「宇宙一の男」を目指すって…『魁!!男塾』じゃないんですから…
どうも原作の魅力がどこにあるかを見誤っておられたように思えます。我々はリトやレンのサクセスストーリーなど見たくはありません。ララや春菜が見たいのです。

実際第26話「ララ」もこの方の脚本でした。上の場面にはお世話になりました…
また褒めておきますと、最後の25、26話は良かったです。劇場版を思わせるような壮大な展開、全キャラに見せ場がありましたし、エロもばっちりでした。
正直、期待していなかったのですが、最後に盛り上げてくださいました。途中であきれてアニメ版の視聴をやめた方も、最後の2話だけでも見てほしいくらいの出来ですよ。

しつこいですがララ+春菜との夢の3Pは最高でした。結果的に最終回が一番何度もスッキリできそうです。
どうも褒めているのかけなしているのかよくわからなくなりましたが、良い点と悪い点が両方ある脚本家だという印象です。
大和屋暁さん脚本で好きな話:文句なしに第26話「ララ」です。感想は上に書きましたので繰り返しませんが、間違いなくスッキリした後で感動できます。素晴らしいです。
大和屋暁さん脚本でダメな話:第7話「男とはかくあるべし!」で異論はないのではないでしょうか。ルンがほとんど出ず、

レンの修行が延々と続く展開…この第7話を見たとき、これよりひどい話はあるまいと思っていたのですが…思い返せばこの第7話から「男」にこだわる伏線は出ていたのですね。
その4:浦沢義雄さん-「To LOVEる」には合わなかった-
担当回:第6話「宇宙人の刺客」、第10話「宇宙の女芸人……」、第17話「旧校舎の幽霊」、第18話「猿山がお土産」、第20話「爆熱少女マジカルキョーコ炎(フレイム)」、第23話「猿山の大奥物語」
文句無しに4脚本家の中で一番末席に位置するでしょう。不可解な猿山の2回の主役回は、いずれもこの方の脚本だったのです。猿山が主役の回など、誰が見たいのでしょう。誤解しないでください。猿山が嫌いなわけではないのですよ。ただそんな余裕があるのならば、美柑が主役の話が見たかったわけでして…
また原作にある話も改変がひどいです。第6話ではララがリトを解剖したいと追い回したり(阿部定事件じゃないんですから)、第17話では旧校舎に住み着いていた宇宙人組が

ゲイバーに就職したり、第20話では後半のほとんどを

モジャック将軍+母親+母親を捨てて家を出た、実の父親の話に費やしたりと、失礼ながら褒める点が見あたりません。強いて言うなら、第10話「宇宙の女芸人……」が

まあ見られるかな…というところです。この回はコメディとして見ればなかなかのものです。
浦沢義雄さんという方は、
彼の手がける作品の多くはシュールな作風や奇抜さなどにおいて独自の世界を作り上げており、「浦沢ワールド」などと呼ばれ特撮・アニメ共に多くのファンを持つ。だが、癖が強い為、自分以外の脚本家がシリーズ構成をしている作品や原作つき作品などで作品の雰囲気を壊してしまう事があり、その作品のファンからバッシングされることも多い
以上引用ウィキペディア(Wikipedia)による
とのことです。また本人の名誉のために申し上げますと、
彼の脚本はト書きが簡素であり、監督の演出によって大きく内容が左右される事が多い。実写作品における坂本太郎、アニメ作品におけるワタナベシンイチといった監督とは特に浦沢とは相性が合うといわれている。また、脚本家らが最も重要視しているドラマ性やキャラクターを深く書くことよりも話の展開やアイデアの面白さを重視している。
以上引用ウィキペディア(Wikipedia)による
つまり、今回の「To LOVEる -とらぶる-」におきましては、監督の加戸誉夫さんと合わなかったというところですかね…
浦沢義雄さん脚本で好きな話:上にも書きましたように、第10話「宇宙の女芸人……」ですね。この回は及第点です。繰り返しのギャグがちとしつこいですが、ララや春菜のコスプレも多彩で、オチの宇宙人が脱税で税務署の手入れ…

というオチなど、まあ結構笑えました。
浦沢義雄さん脚本でダメな話:原作ありの話の原作部分以外はほとんど全てでしょう。特に文句なしの全26話通してのワースト回は第23話「猿山の大奥物語」です。

意味不明な話、キャラの魅力をこわしまくった性格改変、どう考えても悪夢でした。欠番にしてもいいくらいでしょう。
総括:結局、下山健人さんが一番「To LOVEる -とらぶる-」の魅力をよく理解しておられたと思います。シリーズ構成の大和屋暁さんは「男」に関するこだわりさえなければ、いい脚本になったと思います。なんだかんだ言っても、最終回の盛り上がりはすごかったです。エロも「かのこん」レベルでしたし…
千葉克彦さん、浦沢義雄さんはTVアニメ版「To LOVEる -とらぶる-」の脚本には向いていなかったとしか言い様がありません。
もし第二期のTVアニメ版「To LOVEる -とらぶる-」があるとするならば、長谷見 沙貴さんが全て書くのが一番いいのは言うまでもありませんが、それが無理でしたら、千葉克彦さん、浦沢義雄さんの起用はやめていただきたいですね。おふた方の脚本家としての技量云々ではなく、相性の問題です。念のため。

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